ジョージ・クルーニーの人生を語るような映画『マイレージ、マイライフ』

ジョージ・クルーニー

ジョージ・クルーニーの
人生を語るような映画『マイレージ、マイライフ』

ハリウッド映画界で独身男で「二度と結婚はもういい。」と公言してはばからないダンディな俳優といえば、ジョージ・クルーニ。日本では某コーヒーのコマーシャルでもお馴染みですが、独身者のジョージ・クルーニーが演じるからこそ余計に味わい深い作品となっているのが映画『マイレージ、マイライフ』です。ジョージ・クルーニーが演じるライアン・ビンガムも独身者で、結婚に興味を持たずに年間なんと322日間を飛行機で全米中を飛び回る解雇を言い渡す専門職の仕事をしている会社員を演じています。この役柄はジョージ・クルーニー以外には誰が演じることができるのか?!とおも思えるほど、はまり役となりました。アメリカン航空の全面協力の元で、撮影された映画『マイレージ、マイライフ』をご紹介しましょう。

『マイレージ、マイライフ』

日本語のタイトルは『マイレージ、マイライフ』ですが、原題は『Up in the Air』です。直訳してしまうと空中を漂う・・・。ジョージ・クルーニー演じるライアン・ビンガムも独身者で結婚に興味がなく、女性とはCasualな関係が気楽でいい。とまさに「地に足がついていない男」です。そしてそんな意味も『Up in the Air』には込められています。そして、この映画のモチーフになったのが旧約聖書の中にある”angel of death”です。天使はどんな役割を果たすのかというと、まさに死を迎える瞬間に降りてきて「死を受け入れなさい」と諭す役割を果たします。ライアン・ビンガムは解雇を言い渡す役割が仕事です。その仕事を果たすために、いつも飛行機で全米中を飛び回っているのでライアン・ビンガムもいわば、いつも空にいるようなものです。

空港に搭乗手続きをしようとすると、受付のスタッフに「お帰りなさい。」と声を掛けられるほど飛行機に搭乗しているのですから。


あらすじ

主人公のライアン・ビンガム(ジョージ・クルーニー)が働いているのは、解雇を言い渡すことを専門に請け負う会社です。解雇宣告をするために専門の会社に依頼することが、アメリカ社会で成り立っているのか?!というと、答えはイエスです。会社として成り立っています。従業員に解雇通告をしたい会社は、直接従業員にレイオフを言い渡すことで解雇を言い渡された従業員側が会社を相手に訴訟を起こしたり、また自殺されたりすることを防ぐ意味で、解雇通告を専門にしている会社に依頼しています。

ライアンはその会社の中でも、かなりの腕利きの解雇通告専門者として様々な会社から依頼を受けて、全米中を飛び回っています。そしていろいろな営業所や支店で従業員に解雇通知をしています。どれぐらい全米をかけまわっているかというと、1年365日のうち実に出張日数は322日というほとんど飛行機に乗っている状態です。そんなハードな出張日程をライアンは嫌がっているかと言うとむしろ楽しんでいるようです。

ライアンの生活

独身者のライアンは自分の親とも一定の距離を持って付き合い、近所付き合いもほとんどない生活を送っています。365日のうち322日を飛行機で飛んでいますが、当然ながらこれだけ飛行機に乗っているのでプレミア会員です。空港に行っても長い行列に並ぶことなく優先カウンタでチェックイン。そして宿泊するホテルやレストランなども、当然出張なので会社の経費でこれまたVIP待遇を受けています。

たまーにライアンが自宅に戻ると、安らぐ場所であるはずの自宅のほうがホテルの客室よりも閑散としているので、自宅のほうが落ち着きません。ライアンにとって必要な物は全てスーツケースに入っているからでしょう。そしてライアンとってくつろぐ場所は、空港や飛行機の機内が唯一の場所でキャビンアテンダントの笑顔に癒されています。もちろん結婚にも興味を持つことはなく、ライアンにとって家族は重荷でしかありません。

時には解雇通告請負人としての仕事だけではなく、【悠々自適な人生】の講演会まで引き受けたりしています。講演会の中で話すテーマは、【What's In Your Backpack?:あなたは何を背負っている?】と、実にライアンらしい講演テーマです。ライアンのモットーは【バックパックの中に入りきらない人生の持ち物は背負わない】ですから。

そんなライアンにも目標があります。ライアンの目標は【マイレージを1000万マイル達成して、飛行機に自分の名前を残してフィンチ機長と面会すること】です。1000万マイル達成は過去6人だけ達成していますが、月に行くよりかなり難しい記録です。自身が1000万マイルを達成したら、史上7人目になります。これがライアンの目標えす。


新人が配属される

本社のあるオマハにライアンが戻ったある日のことです。新人社員のナタリー・キーナー(アナ・ケンドリック)が採用されます。新任社員のナタリーは、ライアンが行っているようにわざわざ出張して解雇通告をするのではなく、ネット上で遠隔通話システムを使えっTV電話式にモニターの中からて解雇通告をすれば出張することはなくなるし、時間と経費が削減できるという、合理化案を提唱します。

もちろん、ライアンはこの案に大いに反発して衝突します。もしも、こんな案が採用されてしまったらライアン自身の仕事もリストラされてしまう立場になってしまいます。ライアンは『おれ達のやっている仕事はそんな甘いものじゃない。チャットなんかできるかっ!他人の人生を変えてしまう最悪の通知をするのには、相手と話さなければダメだ!!』と猛反発するのでした。

ライアンは上司から新人のナタリーの教育係として任命され、新人研修を兼ねた出張に同行させることになりました。気楽なひとりのフライトが好きなジョージは、もちろんナタリーを連れて行くことに気が進みませんが、業務命令なので仕方ありません。上司はまず新人に実地で解雇通告を試させてそれで問題がなければナタリーのネット通話システムを使った計画を推進しようという腹づもりです。

出張中の機内で、ナタリーは退職勧告のフローチャートを作成しています。そして「このパターンに当てはめれば、機能的に交渉が行えるはず」と鼻息は荒いのですが、実際の交渉ではそのようなわけにはいきません。ナタリーは退職勧告をビジネスライクに進めていこうとしますが、かえって相手とトラブルになりそうになります。そんな場面をライアンは見事な起点を聞かせて、解雇されることを相手にきちんと納得してもらいそして辞めても希望を抱けるような交渉を進めていきます。

さすがに、ナタリーはこのライアンの交渉術をみて、彼女自身の交渉の修正を求められます。そしてライアンを真似て同じようにライアンと同じ言葉をナタリーも別の従業員に対して使うのですが、ナタリが言ってもこれはまったく相手に通じません。コミュニケーション能力の差が出てしまいます。ところが段々、ナタリーも回数を重ねるごとに成長していきます。

そんな中で出張中のナタリーは、自分の携帯をいじっている時に突然泣き出します。突然泣き出した新人ナタリーを見て「どうした?!」とライアンが尋ねると、「彼が私に別れよう。ってメールで一行だけよ。こんなのって酷すぎる!」と言います。ライアンは「ネットで解雇通知するのと同じじゃないか。気にするなよ。」と慰めますが、慰めたつもりが逆効果になってしまいますが・・まさにこの言葉が、この映画のテーマを述べているの場面といえるでしょう。

高学歴のナタリーは、彼氏を追っかける形でオマハまで着ました。そしてオマハで仕事を探したのです。彼女のライフスタイルはとっても保守的です。”結婚相手は背が高くて、大卒でホワイトカラーでラブラドールが好きで、私は23歳で子供を産んで夜はお出かけしたり、車はチェロキーに乗って・・」とかなり堅実で保守的な家族感を持っています。おそらく彼女の頭の中には、結婚する相手がこの枠にはまっていないと、結婚する意味がない。とまで思っているのかも知れません。自分の持つ家族観や結婚観がかなり明確に持っています。だからこそ、自分の目にかなった彼を追いかけてオマハまで転居してきたのでしょう。

保守的な考えの持ち主なのでライアンの「スーツケースに入らない人生の荷物は背負わない」というモットーに反発を覚えます。ある時ライアンは自分ととてもよく似た境遇のキャリアウーマンのアレックス(ヴェラ・ファーミガ)と知り合い、すぐに大人の関係になります。大人の関係になりながらも、お互いにそれ以上踏み込むとはなく「Casualな関係」と割り切っている生き方にナタリーは反発するのでした。